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オトナ女子のお酒のたしなみ パン×日本酒 オトナ女子のお酒のたしなみ パン×日本酒

パン×日本酒

日本酒は、秋に収穫された米(酒米)・米麹・水が主な原料で晩秋から早春にかけて造られるお酒です。特にこの時期には多くの新酒が出回ります。
ひと口に『日本酒』と言っても様々な種類があります。一般に酒米を磨く割合と醸造アルコールの添加の有無で本醸造酒・特別本醸造酒・純米酒・特別純米酒・吟醸酒・純米吟醸酒・大吟醸酒・純米酒に分類されます。さらに同じ分類のお酒でも、酒米の種類や水・酵母・造り方・搾り方などにより香りや味わいも異なります。
最近では、香りの高低を縦軸、味の濃淡を横軸で区切り、薫酒(くんしゅ)・爽酒(そうしゅ)・醇酒(じゅんしゅ)・熟酒(じゅくしゅ)と4つのタイプに分類するチャートがあり、相性の良いお料理や適した温度帯、酒器を選ぶ際の目安にすることが出来ます。以下が4つのタイプとその特徴です。

薫酒:香りの高いタイプ

果物や花のような華やかな香り、酸味のバランスが取れた軽い口当たり。フルーティーで白ワインのようなものもあります。純米大吟醸酒など吟醸酒系の多くがこのタイプで、香りが高く、比較的あっさりとした味わいの料理と好相性です。食前酒や食後酒に。

爽酒:軽快でなめらかなタイプ

柑橘系フルーツやハーブの香りがあり、清涼感のある味わい。飲み口が軽くキレが良く、後味がすっきりとしており、本醸造・生酒・生貯蔵酒などがこのタイプです。あまり食事を選ばないタイプではありますが、脂っこい料理と反発してしまう場合があるので淡白な味わいの食材や料理と合わせて。

醇酒:ふくよかでコクのあるタイプ

原料であるお米や乳製品を思わせる穏やかな香り、ふくよかで深い旨みとコクを感じ、余韻が長めのお酒。純米酒や山廃・生酛系の純米吟醸酒などがこのタイプで、どんな料理にも合わせやすく、食中酒として愉しむのに最適です。複雑で濃厚な味わいなので、チーズなどクセのある食材やアクの強い食材、発酵食品と好相性。お燗にすると旨みが増すのも特徴です。

熟酒:熟成タイプ

ドライフルーツやナッツ、スパイスのような強く複雑な熟成香を持ち、とろりとした甘みや旨みがあるお酒。長期熟成酒や古酒で、力強い味わいで長く余韻が続きます。濃厚な味付けの料理・食品と好相性で、食後酒としても最適です。

さて、『日本酒(地酒)』と言うと、どうしても和食、特にその土地の郷土料理に合わせて飲むイメージがありますが、近年海外での日本酒の評価や人気が年々高まっていることもあり、食文化に捉われずに愉しむシーンが増えています。パンも同じ発酵食品の仲間なので好相性です。今回は、4種類の日本酒のなかでも薫酒・爽酒・醇酒の3タイプとパンとのペアリングをご提案します。

パン×薫酒(醸し人九平次 純米大吟醸 別誂)

リンゴのような香り、ホワイトチョコレートのような甘み、ほのかな渋みが特徴の純米大吟醸酒は、「フルーツサンドイッチ」と好相性です。フルーツやお酒の風味を引き立たせるためにも、パンはシンプルな角型食パンを使用し、フルーツは苺・黄桃・洋ナシ・メロン・キウイ・バナナ・マンゴー・柑橘など吟醸香に近いフルーツを選びます。果実の華やかな香りが、同じく華やかな吟醸香と同調し、乳製品の軽い甘さとミルキーなコクにお酒の酸とほのかに感じるお米のふくよかさが調和します。
彩がきれいなフルーツサンドイッチはおもてなしにもおすすめです。きれいに仕上げるには、カットする方向を意識しながらフルーツを並べることがポイントになります。

フルーツサンドイッチ

作り方
  • 生クリームにお好みの砂糖を加えてしっかり泡立てる。
  • フルーツは厚さを揃えて、大きめにカットする。
  • 角型食パン2枚の片面にそれぞれ20g程度のクリームを塗る。この時クリームは控えめに様子をみながら塗ると、バランスがよい。
  • 1枚にフルーツを彩りよく並べ、もう1枚を重ねてしっかり馴染ませる。
  • ラップに包んで冷やすと切りやすく、カット面がきれいに。

パン×爽酒(吟醸 八海山)

軽快な飲み口で後味スッキリ。キレが良く、雑味のないきれいなお酒です。香りはそれほど強くはないものの、ハーブのような清涼感とミネラルを感じます。
同じくミネラルを感じるカンパーニュに『ツナの和風リエット』を塗ったタルティーヌは、清涼感を高める大葉とお酒の軽快感・清涼感が同調し、ツナの魚臭さを抑え、美味しく纏めてくれます。

また、しっかりと出汁を効かせた出汁巻き玉子をふんわり食パンでサンドした『玉子サンド』もおすすめ。出汁の旨み・玉子の持つ旨みや甘み・アクセントのカラシマヨネーズと、このお酒のキレの良さは抜群の相性です。

ツナの和風リエット

作り方
  • ブロックタイプのクリームチーズ2個(35~36g)とバター10g を室温に戻して緩め、よく混ぜておく。
  • タマネギ40g をみじん切りにし塩で揉み、流水にさらしてから軽くレンジにかける。キッチンペーパーで水気を切る。大葉は2~3枚を千切りにして、トッピング用に少し残しておく。
  • ①に②と油を切ったツナ缶(70g)、醤油・レモン汁各小さじ1/2、粗挽き胡椒少々、大葉を混ぜる。
  • カンパーニュをスライスして軽くトーストし、食べやすい大きさにカット。③を塗り、トッピング用の大葉を散らす。

パン×醇酒(菊姫 山廃純米酒)

お米の旨みが凝縮したコクのある、そして山廃酒母による乳酸菌由来の酸味がガツンとくる飲み応えのあるお酒。人により好き嫌いがハッキリと別れるお酒ですが、複雑な味わいは一度嵌まると抜け出せなくなります。濃厚な食材や濃い味付けのお料理にピッタリ。お燗(35度の人肌燗~40度のぬる燗)することにより、旨みと酸がまとまります。

紹介したいのが『酒盗クリームチーズフォカッチャ』。フォカッチャの小麦粉の旨みが、トッピングの酒盗クリームチーズとお酒を引き立てながらうまく纏めてくれます。更に酒盗とお酒のアミノ酸由来の旨みが同調し、クリームチーズの乳脂肪が酒盗の旨みを増幅させ奥行きを持たせます。またお酒の持つアミノ酸やクリームチーズの酸味は酒盗の臭みや塩辛さをまろやかにしますので、癖のあるお酒には癖のあるものを合わせて美味しさの相乗効果を。盃が進むこと請け合いです。

また、小さなバンズを使った『メンチかつバーガー』も醇酒とよく合います。お酒の酸がカツの油を切り、しつこさを抑制。バーガーバンズのほんのりとした甘味と、小麦粉の旨味・肉の旨味がこのお酒のふくよかな米の旨味と同調します。

また、とんかつソースのカラメル香、野菜やフルーツ由来の酸味と旨味もまた、お酒の持つカラメルを思わせる芳醇な香り、山廃仕込みの力強い酸やアミノ酸由来の旨味と同調します。それにより、美味しさの相乗効果を生み出し、こちらもついついお酒が進みます。

※酒盗とは…主に鰹の内臓の塩辛(発酵食品)のこと。名前の由来は、これを肴にお酒を飲むと「盗まれるように酒がなくなっていく」ほど美味しい様子からきています。

酒盗クリームチーズフォカッチャ

作り方
  • 室温に戻して緩めたブロックタイプのクリームチーズ2個(35~36g)と酒盗小さじ1/2を混ぜ合わせる。※滑らかにしたい場合は日本酒を小さじ1/2ほど加えてのばす。
  • フォカッチャに塗って軽くトーストする。もし普段自宅でパンを作る方は、酒盗をトッピングしたフォカッチャピザを作るのもおすすめです。

みなさんもこの4タイプの分類法をご参考に、好きな日本酒でペアリングにチャレンジしてみてください。
お酒を飲む時には『和らぎ水』を隣に置いて飲むことを強くお勧めします。ウイスキーなどのチェイサーと同様、途中で水を飲むことによりアルコール度数が下がり、深酔いしににくくなります。また舌をリセットすることにより、次の一杯やお料理を美味しく味わうことが出来ます。
楽しく自分のペースで飲み、気持ち良く酔うのも『オトナ女子のお酒のたしなみ』だと思います。

この記事を書いた人

米田千夏

米田千夏さん

パンコーディネーター。会社員を経て製パン講師・パン屋での製造を経験。仲間とパンやお菓子のサークル活動『粉あそびの会』を不定期開催。そして、パンと同じくらい日本酒が好き。全国の酒蔵に足を運び、その土地ごとの素材を使った料理とのペアリングをライフワークとする。