パンのテーブル、世界の味。 vol.8 パンと魚介 アクアパッツアとアヒージョ パンのテーブル、世界の味。 vol.8 パンと魚介 アクアパッツアとアヒージョ

魚介とパンの相性は?

フランスの定番サンド「ジャンボン・ブール」はハム&バターサンドで、ベトナムの「バインミー・ティット」はパンと肉の意味。そしてサンドイッチの発祥であるイギリスでサンドイッチ伯爵が食べたサンドイッチも、パンに肉をはさんだものでした。 サンドイッチといえば、まず、肉(及び肉の加工品)をはさむのが定番中の定番と言えそうです。
「パンと肉」から始まった連載も、今回で最後。
初回の肉に対して、最後は魚介です。 さて、魚介とパンは、そもそも合うのでしょうか?

魚介類は肉と比べると、あっさりしています。
思い浮かべてみてください。お刺身をごはんにのせるだけでもおいしい丼になりますが、パンにのせるだけだと物足りなくないでしょうか。 ここに例えば、オリーブオイルを少しかけると、パンとお刺身のバランスは俄然よくなります。カルパッチョとパンはよく合いますものね。
スペイン・サンセバスチャンのバルでも、オリーブオイルでマリネしたフレッシュないわしやたこ、えびのタパスをパンと合わせてつまんだことを思い出しました(写真①、②、③、④)。

フレッシュな魚介とオリーブオイルの組み合わせもいいですが、オリーブオイルで煮込んだ魚介のおいしさもたまりません。
魚介の旨みがとけ出したオイルをパンにたっぷり吸い込ませると、止まらないですね。魚介とオリーブオイルは、おいしすぎてちょっと危険な組み合わせかもしれません。

金目鯛のアクアパッツァ

材料(2〜3人分)
金目鯛(切り身)
(スズキ、イトヨリ等お好みの白身魚でも)
3切れ
あさり
200g
白ワイン
100ml
EXVオリーブオイル
60ml
ニンニク
2片
タイム、イタリアンパセリ
適量
塩、白こしょう
適量

【A】
ミニトマト
1P
ブラックオリーブ
12粒
ケイパー
小さじ2
  1. ※アクアパッツァ(acqua pazza)とは南イタリアの漁師料理で、魚介類をトマトと白ワイン、水、オリーブオイルで煮るイタリア版の水炊きです。材料さえ用意すれば、作り方はとても簡単。それぞれの素材から旨みが出てくるので、味が決まりやすく、お料理ビギナーでも安心して作れます!
作り方
  • 金目鯛は両面に塩と白こしょうをふる。あさりは塩抜きをしてよく洗う。
  • 鍋にオリーブオイルとつぶしたニンニクを熱する。ニンニクの香りが出てきたら金目鯛を入れて両面をさっと焼く。あさり、A、パセリの茎、タイム、白ワインを加えて強火にかける。煮立ったら蓋をして火を弱め、途中煮汁を全体にかけながら約12分加熱する。
  • 仕上げに粗く刻んだパセリをのせ、好みで塩、白こしょうを添える。
調理のコツ!
  • ここでは手軽に作れるよう切り身魚を使いました。慣れてきたら、ぜひ尾頭付きで1尾まるごと作りましょう!その場合は、うろこと内臓を取ってよく洗い、水気をしっかりと拭き取ってから、表面だけでなく、お腹の中にも塩、白こしょうをしましょう。
    ふっくらと煮えた魚介のおいしさはもちろんのこと、素材の旨みがとけ出したスープも美味。パンをスープに浸しながらいただくのが最高で、ついついパンを食べ過ぎてしまいます。
    パンはチャバッタやフォカッチャなど、やっぱりイタリアパンがよく合います。フランスパンに比べると控えめな印象のイタリアパンですが、イタリア料理と合わせるとその持ち味が生きてきます。

アレンジレシピ

えびとたこのアヒージョ

えびとたこのアヒージョ

アヒージョ(ajillo)とはスペイン語でニンニクのこと。ニンニクとオリーブオイルで食材を煮込んだ料理のこともアヒージョと呼ばれます。気軽に作れるおいしいおつまみなので、日本でも人気です。
メインの食材そのもののおいしさもさることながら、一番おいしいのは、食材の旨味が溶け込んだオリーブオイル。なので、この料理にはパンが欠かせません!
おいしいオイルをパンにしっかりと吸わせて、最後まで楽しんでください。

材料(作りやすい分量)
えび(殻付き)
8尾
ゆでだこ
100g
ニンニク
1片
赤唐辛子
1本
EXV オリーブオイル
100ml
小さじ1/4
イタリアンパセリ
適量
  1. ※帆立やいか、あさり等、お好みの魚介でアレンジできます。マッシュルームや、ブロッコリー、ミニトマト等の野菜を加えても美味です。
作り方
  • えびは殻をむき、背わたを取る。たこはぶつ切りにする。
  • ニンニクは芯を取り、みじん切りにする。赤唐辛子は種を取る。
  • フライパンに②とEXVオリーブオイル、塩を入れ香りが出るまで熱する。①を加えてえびに火が通るまで弱火で煮る。
  • 火を止め、粗みじん切りにしたイタリアンパセリをかける。

POINT

ニンニクと唐辛子は焦がさないように!オリーブオイルがたっぷりなので、火加減に注意しながら香りを引き出しましょう。
魚介を入れてからも、煮立ってからは弱火にしてやさしく火を入れます。
アヒージョはオイル煮です。オリーブオイルが少ないと、オイル炒めになってしまうので、足りない場合は足してください。

また、オリーブオイルが残った場合は、炒めものやパスタに使って最後まで楽しみましょう!

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生牡蠣には、ライ麦パンとバターを。

魚介とパンに合うのは、オリーブオイルだけではありません。バターだって、魚介とパンのおいしさを構成する重要な食材です。
フランスのレストランで生牡蠣(写真⑤)を頼むと、必ず添えられるのがライ麦パンと無塩バターとエシャロット入りの赤ワインビネガー(写真⑥)です。
生牡蠣には、まずはレモンをキュッと絞り、さらにエシャロット入りの赤ワインビネガーをかけます。牡蠣自体が塩を含んでいるので、酸味を添えるだけで、しっかりと締まった味わいとなります。ライ麦パンには無塩バターをたっぷり塗って、牡蠣をのせて、タルティーヌにして一緒にいただいてもいいですし、牡蠣を頬張りながら、パンをかじっても。ライ麦の特有の風味や酸味が牡蠣とマッチして、バターのコクのあるふくよかな味わいが広がります。
フォカッチャやチャバタにはオリーブオイルが合いますが、ライ麦パンにはバター。そして、生牡蠣には、やっぱりライ麦パンとバターとの組み合わせがマッチします。「油」をプラスするのがおいしさのポイント、納得の味わいです。