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パンのテーブル、世界の味。 Vol.3 パンとスープ スペイン サルモレホとソパデアホ パンのテーブル、世界の味。 Vol.3 パンとスープ スペイン サルモレホとソパデアホ

スープとパンの切っても切れない関係。

唐突ですが、スープはお好きですか? パン好きさんなら、スープとパンの組み合わせはきっと食卓に欠かせないことでしょう。

フランス語でも英語でもスープは「飲む」ではなくて、「食べる」と言いますね。何故かというと、スープはもともと汁物ではなく「液体をかけたパン切れ」のことで、「食べる」ものだったからと言われています。

昔々、パン釜が村に一つしかなかったような時代には、パンは毎日焼くものではありませんでした。大きくしっかりと焼き上げたパンは日を追うごとに固くなり、そのまま食べるのは至難の業。切ったパンは、肉や野菜を煮込んだ汁をかけて柔らかくしてからおかゆのようにして食べていたそうで、これがスープの原型です。
スープはパンと同じくらいの歴史があり、パンと共に歩んできた料理なのです。
(写真①フランス・バスクのレストランのガルビュール。シェアしていただくたっぷりサイズ)

スープは元々庶民的な料理で、フランス語では「スープ soupe」とは別に、「ポタージュ potage」という言葉も生まれて差別化されるようになったそうです。 そして、現代ではスープとパンは別々の食べ物として、スープは液体だけを指すようになりました。
(写真②グリーンピースのポタージュ、③カボチャのポタージュ。いずれもパリのレストランにて)

パン入りスープ、パン添えスープ。

かしこまったレストランでいただくスープは、一口でも印象的な味わいが魅力です。(写真④キュウリの冷製スープ。パリのレストランにて) でも、気軽なレストランでいただく素朴なスープの方が、よりスープらしく感じるのは、そこにパンの気配が感じられるからかもしれません。 丼のような大きなスープボウルに入れられた「オニオングラタンスープ」(写真⑤パリの老舗レストランにて)はパン入りのスープ。厚切りのバゲットとチーズをのせて焼き上げて仕上げます。スープをしっかり吸い込んだパンのおかげで食べ応えも抜群で、女性ならこれだけでもおなかがいっぱいになります。フランス人にとってはラーメンのような存在で、飲みに行った後に食べて帰ることも多いそうです。

「スープ・ド・ポワッソン」(写真⑥コルマールのレストランにて。こちらはなんとおかわり自由!)はパン添えスープ。魚介のアラでとった出汁の旨みが凝縮したスープに、薄切りのバゲットとにんにくマヨネーズとチーズをたっぷり添えていただきます。スープを吸い込んだバゲットがしみじみとおいしくて、ついつい食べ過ぎてしまいます。

残り物の固くなったパンで私がよく作るのは、スペインの素朴なスープ「サルモレホ」。ガスパチョ(写真⑦スイスのオーベルニュ、⑧パリのバスク料理レストランにて)の原型ともいえる、スペイン・アンダルシア地方の冷製スープで、とろみの元となるのがパンです。ガスパチョはトマトをメインにパプリカ、キュウリ等いろいろな野菜を組み合わせますが、サルモレホに使うのはトマトだけでとてもシンプル!サラダ感覚でいただけます。
寒い季節ならおなかの中から温まる「ソパ・デ・アホ」を。
お茶漬けのような、雑炊のようなパンのスープは、思い立ったらすぐに作れるのも魅力ですね。

サルモレホ

材料(2~3人分)
トマト(完熟)
500g
はちみつ
小さじ1〜2
バゲット(又は食パン)
70g
ニンニク
1/2片
EXVオリーブオイル
大さじ2
白ワインヴィネガー
大さじ1
小さじ1/2
白こしょう
少々

トッピング:
ハモン・セラーノ(生ハム)
2枚
ゆで卵
2ヶ
キュウリ
1本
ルッコラ
適量
  1. ※トマトは、中玉サイズやミニトマトなど、小ぶりのものやよく熟したものを選びましょう。
  2. ※トマトの甘みに応じて、はちみつの量を加減してください。
作り方
  • トマトは湯むきして一口大に切り、はちみつを合わせる。バゲットは一口大に切り、100mlの水をかけておく。
  • ①とニンニク、EXVオリーブオイル、白ワインヴィネガー、塩、白こしょうを合わせてミキサーにかける。
  • トッピングの材料を食べやすい大きさに切り、②の上に彩りよくのせ、オリーブオイル(分量外)をかける。あればエスプレット唐辛子や一味唐辛子をトッピングとして振りかける。
調理のコツ!
  • スープに使うパン
    スープの為にわざわざ買ってくるのではなく、残り物の固くなったパンで大丈夫!バゲットや食パン等、プレーンなパンを使うとスープの味を邪魔せず、マイルドに仕上がります。 食べきれないパンをスープ用に冷凍してストックしておくのもおすすめです。

POINT

メインはトマトとパン!
メインはトマトとパン!

サルモレホは、同じスペイン料理のガスパチョと比べるとよりシンプル。使う野菜がトマトだけなので、気軽に作れるのも魅力です。 ミキサーにかけてすぐでもいただけますが、冷蔵庫でしばらく冷やしておくのもおすすめです。パンが水分を吸い込んでほどよいとろみが付き、しっかり冷やすことで暑い季節にはサラダ感覚でおいしくいただけます。朝食用に、前日の夜に作り置きしても大丈夫。
少し残った時にはEXVオリーブオイルとヴィネガーを増やせばドレッシングとしても活用できます。

トッピングでひと工夫
トッピングでひと工夫

サルモレホは、生ハムとゆでたまごをトッピングするのが定番です。さらにキュウリの角切り、ルッコラを添えるとサラダ感覚で、食感や香りのコントラストを楽しむことができます。
スープとトッピングのバランスを変え、トッピングを多めにするとサラダっぽくなります。朝食用には、トッピングは多めにしたサラダ仕立てがおすすめです。

アレンジレシピ

ソパデアホ

ソパデアホ Sopa de Ajo

スペイン語でソパとはスープ、アホとはニンニクのこと。
薄切りにしたニンニク、生ハムをパプリカパウダーとオリーブオイルで炒めてからパンを加え、水を入れて煮立たせます。塩と白こしょうで味を整え、卵を入れたら完成です。
スペインのカスティーリャ地方生まれのにんにくスープは、古くて固いパンを食べるために羊飼いが作っていたと言われています。
10分もあれば出来てしまうお手軽レシピなので、騙されたと思って是非お試しを。
生ハムとニンニクから出たコクのある味わいに驚くことでしょう。スープをほどよく吸い込んだパンも、格別のおいしさです。ニンニク効果で、身体がすぐに温まるのもいいですね。
ささっと作って、出来立てアツアツのうちにお召し上がりください!

材料(2人分)
バゲット
80g
EXVオリーブオイル
大さじ2
ニンニク
3片
パプリカパウダー
小さじ1/4
生ハム※
50g
たまご
1個
塩、白こしょう
少々
  1. ※生ハムはスペインのハモン・セラーノがおすすめですがなければイタリアの生ハム、プロシュートでも。
作り方
  • バゲットは一口大に切る。ニンニクは薄くスライスする。
  • 鍋にEXVオリーブオイル、ニンニクを入れてニンニクに焼き色が付かないよう低温で加熱する。香りが出てきたらパプリカパウダー、ちぎった生ハムを加えて炒める。さらにバゲットを加えて炒める。
  • ②に水を加えて加熱し、塩と白こしょうで味を整える。沸騰したら、よくほぐしておいたたまごを入れて軽くかき混ぜ、火を止める。

POINT

残り物のパンで作る!
残り物のパンで作る!

バゲットやバタール等、プレーンなフランスパンが向きます。パンはわざわざ用意するのではなく、食べきれずに固くなった前日、前々日のものを。残り物を一口大に切って冷凍保存しておくと便利です。
固くなったパンのリメイクレシピとしてとても優秀ですが、作り置きには向かないのでご注意を。時間が経つと、パンがスープをどんどん吸い込んで、まるで伸びた麺のようになってしまいます。

SPANISH  FOOD  COLUMN SPANISH  FOOD  COLUMN

スペインのおいしい生ハム、ハモン・セラーノの魅力。

今回のスープ2種に使った生ハムは、共にハモン・セラーノJamón Serranoです。
スペイン語でハモンとはハムのこと、セラーノは山。直訳すると“山のハム”。
スペインの食材の中でも、この生ハムのおいしさは格別です。1本まるごとかかえて帰りたい!とハモン・セラーノの専門店(①)で衝動買いしそうになったのは私だけではないでしょう。その中でも希少性の高いのがハモン・イベリコと呼ばれるイベリコ豚で作られたものです。ハモン・セラーノが一般的な白豚で作られるのに対して、イベリコは黒豚。足の爪の色が黒いので、一目で見分けが付きます。イタリアのプロシュートと比べると、野性味があり力強い味わいです。バルでは、パンにたっぷりのせたりはさんだりしたもの(②、③)が気軽にいただけます。

スライスしてそのままいただくのが一番のおいしさで、本当はスープにするのは、切れ端や、骨の部分で充分。“貧乏人のスープ”とも言われる「ソパ・デ・アホ」に使うのは贅沢だなーと思いながらも、ハモン・セラーノだからこその出汁のおいしさが好きで、ついついたっぷり入れてしまいます。